いいもの 播州三木刃物 ~鉋編~
長い年月が磨きあげてきた伝統 そこに常三郎の魂がある
1.鍛接
明治時代の鉄(チェーン)を使用することで、研ぎやすい刃物ができます。
工場の入口には大きなイカリが!
【鍛接①・②・③・④】
【水打ち①・②】
鋼を乗せる前に敷作り、地金に水打ちを行い、水蒸気爆発をさせ、酸化皮膜を飛ばします。
とにかくすごい音です!!体がビクッとしました!!!
↑水打ちをした後の地金、キレイな状態になっています。鉋は鋼との接地面が広いため、特に鍛接は難しいそうです。
【鍛接⑤・⑥】
鋼を乗せます。いつも社長は素手なんだそうです!画像の鋼は青1を使用されていました。
温度が上がりすぎないように、鋼の上に別の鉄を乗せています。
【のたうち(仮接)】
【鍛接⑦・⑧】
【抜き①・②・③】
↑抜いて初めて気がつきましたが、すでに刃先と頭で厚さが違います。
打っている段階で厚さを変えているんですね。
2.地金造り
八幡製鉄所が出来るまで、日本は主にヨーロッパから輸入していたそうです。
今と違って、製鉄の技術が未熟で、柔らかい鉄のため、地金に向いているのだそう。
画像は、古い大きなチェーンを半分に切断し、積み上げられています。
地金造りは、時間と温度の関係で、コークスを使用するそうです。
↓事務所に置いてあった様々な種類の地金。
「双頭レール」もあります。昔のレールは摩耗が進むと、反対にして使用していたそうです。
今でも古い鉄の出物が出ると、買い付けに行かれるということでした。
3.甲スキ
【甲スキ①・②・③】
甲の部分の透きをフライスで加工します。品質の安定化のためだそうです。
鉋の種類によって、スキの加工も違うということで、種類がわかる様にチョークでマークされているのがわかります。
4.槌目加工・名入れ加工
【槌目①・②・③】
鎚目の加工を行いますが、最近は地の部分がわかるものが好まれるそうです。
地の部分が良くわかるように木目処理された物がこちら↓ 非常に雰囲気があります。
【名入れ①・②・③】
5.焼入れ・焼戻し
焼入れは鉛で行い、焼戻しは水で行います。温度には非常に気を使い、鋼によって温度が異なるそうです。
6.洋かんな用の研磨盤
海外の洋かんな用の注文もあるため、専用の研削盤。
海外でも、鋼付のメイドインジャパンの刃は良く切れるため、評判がいいそうです。
【研削盤①・洋かんな①】
7.歪み取り
鍛接と歪み取りが一番難しいそうです。
8.様々なカンナ
▼五徳カンナ:非常に珍しく、今ではほとんど作成している所がないため、注文が多いそう。
▼鉄橋のリベットの穴を残したままの地金を使用し作成されたカンナ:味がありますね。
▼かつお節削り器
▼刃先
((ウラ話)) よく見ると地金に小さな穴が開いているのがわかります。古い地金は不純物が多く、気泡(穴)がたくさんあります。これが研ぎやすい証と言われます。
(番外編) 天然砥石
今では非常に希少な天然砥石。しかも東門の奥殿、中山の巣板、戸前など。
↑少し研いでもらったところ、いい感じの研ぎ汁が出てきました。