いいもの 播州三木刃物 ~小刀編~
播州三木打刃物を手掛けて60年の伝統が生んだ切れ味
今まで60年以上にわたり、小刀作り一筋に伝統的技術と新技術を融合させ、切れ味と耐久性を追求した道具作りをされています。
丹精を込めて作られた小刀は、鍛接・鍛造する所から化粧箱に入れるまで70工程以上。
では、工程をご紹介します。
1. 地金作り
古鉄を1200度~1300度に熱し、ハンマーで適切な寸法に鍛造します。
((ウラ話)) 夏場は非常に体力を使うので、休日前にしか行わないそうです。
訪問させていただいたのは1月でしたが、すごい熱気!
昨年の夏、気付いたら、後ろに置いていた扇風機の羽根が熱で溶けて止まっていたそうです!!!
【地金】 画像は大きなチェーン(大船のイカリなどで使用してた?)を半分にしたものです。
【地金造り①】 燃料は石炭(コークス)です
【地金造り②】 画像は「雲流」などで使用される積層鋼材となります
【地金造り③】
2. 鍛接
地金に鋼をのせ1020度~1080度に熱し鍛接します。
((ウラ話)) 切れ味が良く、研ぎやすい白鋼(炭素鋼)・白鋼よりも固く、永切れする青鋼(合金鋼)。それぞれ鍛接する温度が違うため、経験と腕が必要とのこと。
出来は最終の研ぎを行うまでわからない場合もあるそうです。
【網のせ①・②】
【沸かし①・②】
【鍛接①・②】
【中切り①・②・③】
↑鋼部分にタガネを入れ2本にします。
↑片方の刃が逆(鋼が表になっている状態)なので、刃先を叩いて反対に整形します。
ひと叩きするたびに、切出小刀の形になっていくのは、圧巻です!
3. 火造り
冷めないうちに槌で早くたたいて整形していきます。
【火造り①・②・③・④】
4. 焼きなまし
鋼の内部歪みを整えます。
5. 裏出し
【裏出し①・②】
↑ならし作業で生じた歪みを槌で真っ直ぐにしていきます。
【裏磨き①・②・③】
↑グラインダーで小刀の裏を磨きます。
【槌目入れ①・②・③】
↑裏のくぼみを作り同時に表に槌目模様を入れます。
↑鎚目模様がわかりやすいように、さりげなくライティングしてるのがわかります。
6. 焼き入れ・焼戻し
焼き入れは780度~800度に加熱保持し急冷します。
焼戻しは150度~180度に加熱し鋼の組織を安定化させ、粘りと高度を持たせます。
【秘伝のたれ①・②】
↑出来上がりを黒く仕上げるためと、焼入れ・焼戻しの際、鉛が付きにくくするための「秘伝のたれ」。中身はとの粉(砥石の粉)以外は秘密だそうです。ここだけは、社長も最後まで秘密でした。
【焼き入れ・焼戻し①・②】
焼入れ・焼戻しに使う鉛の塊を見せて下さる社長の手元。↑
7. 研磨
歪み取りを行った後、裏の粗研ぎを行います。
【荒研ぎ】
↑荒研ぎした状態の横手小刀。
【中研ぎ①・②】
↑この状態だと切れ味はいいですが、欠けやすいので、刃先のみ研磨します。
【刃先】
見にくいですが、刃先が2段になっています
【裏押し①・②】
【磨き】
↑刃先部分を磨きます。