「堺打刃物」ができるまで~刃付編~
「堺打刃物」ができるまで~刃付編~
「堺打刃物(さかいうちはもの)」の特徴はその優れた、金属を鍛錬する「鍛冶(かじ)」技術・刃を研磨する「刃付(はつけ)」技術にあります。焼き入れ後の包丁は刃付職人に渡ります。「刃付」とは、鍛造された包丁を砥石で研いで整形し、切れ味よく仕上げる技術です。
簡単にまとめた工程は以下のとおり。
①荒研ぎ・歪みとり・バフあて
②本研ぎ・刃ひき・裏研ぎ
③バフあて
④ぼかし
⑤小刃付け
⑥かえり取り
次に訪れたのは、藤井刃物製作所。
江渕さんの製作所から歩いてすぐのところにありました。
気さくに出迎えてくださった刃付職人の藤井啓市さん。伝統工芸士でいらっしゃいます!ごあいさつすると、「秘密が多いからなあ」と明るく答えてくださいました。
荒研ぎ・歪みとり・平研ぎ
鉛で焼き入れを行い、歪みを調整してから、「荒研ぎ(あらとぎ)」の工程へ。今回は歪みをハンマーで調整し、「荒研ぎ」から見学しました。
包丁のサイズにあった木型の型(研ぎ棒)に包丁をはめこみ、
粗い目の回転研石で全体を荒く研ぎ、刃をつけます。
それぞれのサイズに合った研ぎ棒。包丁の種類だけ、すべて手作り!
研ぎ棒から外し、刃をのばし刃の形を整え、歪みをとっていきます。これを繰り返し調整していきます。
荒研ぎだけでも随分包丁らしくなりました。
日本人は右利きが多いので、銘は表に入るのだそう。
本研ぎ・刃ひき・裏研ぎ
砥石を変え、本研ぎ(めすきあて)へ。これは研いだ包丁の刃をより薄くする工程です。始めに裏側から研ぎ始めます。
裏は平らに研ぎます。こうすることで包丁のメンテナンスがしやすくなります。表は丸みをもたせ、厚み調整し、ひきめをとります。
こちらが表です。刃先に二段になって見えるのがひきめです。この時点ですでに切れる状態。紙をスパッと切って実演してくださいました!(一同大歓声!)
バフあて
さらに砥石を変えて、砥石でついた荒い目や包丁の平を細かくしていきます。
次にペーパーの砥石をあて、
包丁の背の部分も削ります。
砥石を次々変えて、調整していきます。作業がしやすいように砥石は横一列に並んでいます。
まだまだ作業は続きます!さらに麻の砥石でバフあて、綿の砥石でバフあて・・・と次々変えて、より細かく研磨し艶を出します。
ぼかし
次に行われる工程は「ぼかし」。油をふき、鉄粉をふきつけ刃金(はがね)と地金(じがね)を際立たせます。
鉄粉をふきつけることによって、地金(鉄)のみを削ってくもり、刃金部分はさらにつやが出て刃紋(刃境)がくっきり浮き出ます。
残念ながら痛さ伝わりませんが・・・ありがとうございます!
小刃付け
最後に刃の調整をし、切れ味よく仕上げます。
かえり取り
小刃付けした時のバリを取ります。
こちら、磨く前の包丁です。
そして磨きあがった包丁です。・・・こんなに包丁って美しいものか!と思いました。
その刃の姿ももちろんですが、とことん手間がかかった工程、藤井さんの技術、そして心をこめて厳しく丁寧に研いでいく姿に魅せられました。
工程の一つ一つを軽快に丁寧に教えてくださった藤井さん、ありがとうございました!