いいもの 播州三木刃物 ~鋸編~
百年、三代にわたり、切り味を追求し、一枚一枚に精魂を込め、
本焼本造りの鋸を製造しています
三木に生まれ育ち、18歳で『炭割りから鋸造りのすべて自分の体で』と親方に2年間弟子入りした後、父二代目順太郎のもと鋸職人として技に励み、平成12年三代目順太郎を襲名する。 三木市内最年少38歳という若さで伝統工芸士に認定されました。
※伝統的工芸品は、審査委員会にて5人以上の立会いのもと、審査を行い、合格を受けた商品のみが伝統的工芸品のマークをつけて販売する事ができます。(年3回程度実施されます)
1. 工程と道具
2. 焼入れ
焼入れ…板厚が薄く、大きいため、常に動かしていきます。
焼入れ加熱① |
焼入れ加熱② |
焼入れ加熱③ |
焼入れ加熱④ |
焼入れ加熱⑤ |
焼入れ加熱⑥ |
焼入れ…菜種油にいれて、焼入れを行います。鉱物油より植物油の方が良い焼きが入るそうです。焼入れ後、歪取りのため、温かいうちに後ろのプレス機に挟んで徐々に冷まします。
焼入れ① |
焼入れ② |
焼入れ③ |
3. 首部の鍛接
鋼が希少品の時代、少しでも鋼部分を少なくするため、首より下で鉄と鍛接していました。
今でも伝統的工芸品には、鍛接の跡が残っています。鋼部分が乗っている方が表になり、横挽きが右についています。
4. 焼入れ・焼戻しを行った後の鋸
焼入れのみの鋸は硬く、手で簡単に折れるほどです。
焼戻しを行った後の鋸は粘りがあり、曲げても元に戻ります。
説明して下さる三代目→
5. 仕上げ研磨(センすき)・磨き
九寸両刃鋸は、焼入れ時は1.2mmほどある板厚を0.4mm程度まで研磨していきます。
鋸独特のしなりと軽い切れ味をもたらすには、部位によって厚さを変化させる必要があり、非常に難しいところです。
長年やっていれば、しなりを体が覚えており、どこを後どのくらい研磨が必要かわかってくるそうです。
研磨 |
研磨① |
研磨(センすき)② |
研磨(センすき)③ |
研磨(センすき)④ |
研磨(センすき)⑤ 研磨する道具。今はどこも作っていないそうです。 |
磨き① |
磨き② |
6. 歪み取り
本目立てを行う前に鋸板の歪みを直します。
様々な鎚を使い分けて歪取りを行う三代目。後ろには、全国各地から届いた修理品がありました。
歪取り① | ||
歪取り② |
歪取り③ |
歪取り④ |
7. 目立て
昔は目立ては「目立屋」が行ってきましたが、今は目立屋も少なくなりました。
三代目も御自身が作られた鋸の修理をするために、技術を習得されたそうです。
鋸の目立ては、一つの刃に三か所研ぐ必要があります。それを左右両面行うので、横引き刃だけで計6回の目立てが必要です。
目立て① |
目立て② |
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目立て③ 一つ一つの刃が砥がれる度に、刃に明りが当たり、光っていく様子に息をのみます。 |
8. アサリ出し
鋸の刃を一枚ごとに槌で叩いて、左右に振り分けます。鋸を引く際、抵抗を減らすことができます。
アサリ① |
アサリ② ↑アサリの出具合が一定か確かめる三代目。少しでも揃っていないと真っ直ぐ挽くことができないそうです。 |
一度叩いて、曲げた刃を反対から叩くと折れてしまうということで、、、声をかけることができませんでした。
最後は、全て試し切りを行い出来を確認されるとのこと、逸品なわけです!